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“成功したければ本を読め”は本当だった。科学と心理学が裏付ける読書の力

「成功したければ本を読め」とはよく言われるものの、その理由を明確に説明できる人は少ないかもしれません。しかし近年、脳科学や心理学の研究によって、読書と成功には密接な関係があることが次々と明らかになっています。

ただの趣味と思われがちな読書ですが、実は思考力・感情・意思決定に至るまで、人間の中核を鍛える最強のツールともいえる存在。この記事では、科学的・心理学的な観点から、なぜ読書が成功へと導くのかを掘り下げていきます。

成功している人の中には読書家が多い

成功者の多くが読書家であることは、もはや定番ともいえる事実です。

たとえば、投資家のウォーレン・バフェットは毎日5時間以上を読書に充てると語っており、「読書は投資判断の基盤になる」とも述べています。静かにページをめくる時間の中で、膨大な知識を蓄え、判断の質を高めているのです。

マイクロソフト創業者のビル・ゲイツも、年間50冊以上の読書を自らのブログで紹介し、「本は新しい視点を与えてくれる最大の手段」だと語っています。分野も小説、歴史、経済、医療まで幅広く、読書を通じて世界の構造や人の心理を深く掘り下げていることがうかがえます。

また、スペースXの創業者であるイーロン・マスクは、幼少期からSF小説や科学書に熱中し、ロケット工学すらも「本から独学した」と語っています。彼にとって読書は単なる学習手段ではなく、未来を構想するためのインスピレーションの源泉でもあるのです。

彼らに共通するのは、「知識を得るため」以上に「思考を深めるため」に読書をしているという点です。本は知識を与えるだけでなく、他人の視点を通じて、自分自身の思考の枠組みを更新し続けるための手段なのです。

なぜ本を読むと成功に近づくのか

本を読むことによって、知識を得るだけではなく下記のようなメリットをもたらしてくれます。

  1. 脳トレとしての効果
  2. 思考の引き出しを増やすことができる
  3. 共感力と感情知能(EQ)の向上
  4. メンタルの安定とストレス耐性

1. 脳トレとしての効果

読書は「脳の筋トレ」ともいわれます。それは読むという行為が、単なる情報収集にとどまらず、脳の複数の領域を同時に活性化させるからです。

まず、文章を理解する際には「前頭前野」が活発に働きます。ここは計画性や論理的思考、意思決定などの高度な認知機能を司る領域で、ビジネスや日常生活における判断力の土台となります。

次に、読んだ内容を記憶し、登場人物や場面を想像する過程では、「海馬」や「後頭葉」、さらには「側頭葉」などが連携して活動します。これにより短期記憶と長期記憶の橋渡しがスムーズになり、記憶力の強化につながります。

さらに、物語の展開を予測したり、登場人物の心理を読み解いたりする過程では、読解力だけでなく創造力や感情理解といった多様な知的機能が総動員されます。これは、脳の各部位を連動させる「ネットワーク構築能力」を高めることにもつながります。

このように、読書という一見シンプルな行為には、視覚情報の処理・意味理解・記憶・想像・感情の共鳴など、複数の認知プロセスが複雑に絡み合っています。つまり読書は、脳全体をバランスよく鍛える“複合的なトレーニング”なのです。

特に習慣的に読書を行う人は、脳の白質(神経信号の伝達路)や灰白質(思考や記憶の中枢)が発達しやすいという研究結果もあり、認知症のリスクを下げる可能性も指摘されています。読書は若い時だけでなく、年齢を重ねてからも有効な「脳の健康法」だと言えるでしょう。

2. 思考の引き出しが増える

読書の価値は、単なる情報量の増加にとどまりません。むしろ重要なのは、思考の「引き出し」が増えることです。

「引き出し」とは、知識の断片だけではなく、状況判断の材料や視点のバリエーション、アイデアの切り口、そして問題に対する多角的なアプローチを指します。読書を通して、多くの人の人生観や価値観、問題の乗り越え方に触れることで、それらが無意識のうちに蓄積され、日常の意思決定に活かされていくのです。

たとえば、ある課題に直面したとき、多くの読書体験をしてきた人は、「あの本で似たような状況があった」「こういう切り口もありえる」「この考え方を応用できるかもしれない」といった発想を瞬時に引き出すことができます。これは、単なる記憶ではなく、知識や感情体験、状況理解を“内面化”しているからこそできる高度な思考プロセスです。

また、読書は時間の流れを伴う体験であるため、深く思考しながら内容を咀嚼する習慣が自然と身につきます。この“熟考の習慣”こそが、複雑な問題に対して腰を据えて取り組む力につながり、結果として優れた問題解決力や創造性を育てる要因となります。

問題解決力や創造性が高い人ほど、実は日々の読書で養われた思考の引き出しを無意識に活用しており、それが日々の言動や成果に深く反映されているのです。

3. 共感力と感情知能(EQ)の向上

特に小説や伝記などは、他人の感情や人生に深く触れる体験になります。これが共感力や感情知能(EQ)を育てるのです。物語を読むことで、読者は登場人物の心の動きや行動の背景にある動機を理解しようとします。こうしたプロセスを繰り返すことは、実社会での他者理解や感情の読み取りに非常に有効です。

心理学的にも、フィクションを読むことで「心の理論(Theory of Mind)」、すなわち他者の思考や感情を推測する力が向上するという研究が報告されています。これは、対人関係において共感的かつ柔軟な対応を可能にする認知能力の一つです。

EQが高い人は、他人の気持ちを理解し、的確に対応できるため、人間関係が円滑になりやすく、チームの中でも信頼を集めやすい傾向があります。ビジネスやリーダーシップにおいても、感情をコントロールしつつ周囲と調和できるEQの高さは、大きな武器になります。また、衝突が起きた際にも感情的にならず、冷静に対話を導く能力は、まさに読書によって培われる感情理解の力に支えられているといえるでしょう。

読書によって、フィクションであれノンフィクションであれ「他者の視点で物事を見る」練習ができることは、社会的スキルの底上げにつながります。これは職場だけでなく、家庭や地域社会などあらゆる人間関係の場面で活きてくる「人としての深み」を育てる効果でもあるのです。

4. メンタルの安定とストレス耐性

読書にはリラクゼーション効果もあります。実際、イギリスのサセックス大学の研究によれば、6分間の読書でストレスが約68%軽減されるという結果が報告されています。この研究では、音楽を聴く、コーヒーを飲む、散歩をするといったリラックス方法と比較しても、読書が最も効果的だったとされています。静かな環境で活字に没頭することで、脳波が安定し、心拍数や筋肉の緊張が緩和されるのです。

さらに、読書は「心理的距離」を生み出す効果もあります。たとえば、物語の登場人物の人生を追体験することで、自分自身の悩みやストレスを客観視できるようになります。これは「ナラティブ・セラピー」と呼ばれる心理療法の考え方にも通じ、物語を通じて自己との対話を深めることができるのです。

また、苦しい状況を描いた物語や逆境を乗り越える人物の伝記などを読むことで、自分自身の困難にも冷静に向き合えるようになります。これは「間接的な経験」として、心の耐性を育てることにつながります。成功と失敗、葛藤と希望を繰り返す登場人物の姿から、人間のしなやかさや回復力を学ぶことができ、自らの人生に応用できるヒントを得られるのです。

情報過多で不安定になりがちな現代において、読書は静かな時間とともに、内面を整える強力なツールともいえるでしょう。スマートフォンやSNSに囲まれた日常から少し距離をとり、自分自身と向き合う貴重な時間。それが「読書」という行為の持つ、深い癒しの力です。

まとめ:読書は最も身近で、最も効果的な成功の道具

読書は、知識を得るだけでなく、脳を鍛え、心を育て、思考の幅を広げ、さらにはストレスにも効く、万能の“自己投資”です。

成功を夢見るなら、まずは1冊の本から始めてみてはいかがでしょうか。その積み重ねが、やがて人生を大きく変える力になるはずです。