私はかなり先延ばし癖がかなりひどく、期限ギリギリにならないと手を付けられないようなタイプでした。しかし、先延ばし癖をしっかり向き合い、様々な改善方法を試す中で先延ばし癖を直すことに成功しました。この記事では、先延ばし癖の原因や解消するためのアプローチ、改善方法などをまとめています。
先延ばし癖の原因
面倒くささ
おそらく先延ばし癖の原因の中で最も厄介なのが「面倒くさい」という感情です。この「面倒くさい」という感情は、タスクに取り組む前から私たちの行動を妨げます。
例えば、レポートを書く前に「資料を集めるのが面倒くさい」と感じたり、部屋の掃除をする前に「物を片付けるのが面倒くさい」と思ったりします。この感情は非常に強力で、合理的な判断よりも感情的な反応が優先されてしまうことが多いです。
また、面倒くささは疲れているときや気分が乗らないときに特に強く現れ、本来なら簡単にできるタスクでさえ大きな障壁に感じられてしまいます。この感情と上手く付き合うことが、先延ばし癖を克服する第一歩となります。
プレッシャー
プレッシャーは、「あれをやらないといけない」という取り組み自体に対してだったり、「やらないといけないことを終わらせる大変さ」から、気持ちがマイナスに働いてしまう要因です。このプレッシャーは、特に重要な仕事や締め切りが迫っている課題に対して強く感じられます。例えば、大事なプレゼンテーションの準備や難しいレポートの作成など、結果に対する期待値が高いタスクほど、プレッシャーは増大します。
このプレッシャーを感じると、脳は一種の防衛反応として「回避行動」を取りやすくなります。つまり、プレッシャーを感じるタスクから意識的・無意識的に逃げようとするのです。その結果、やらなければならないことに対して「後でやろう」という思考が生まれ、どんどん手を付けづらくなってしまいます。
さらに、プレッシャーを感じている状態では、思考が硬直化し、創造性や問題解決能力が低下することも科学的に証明されています。これにより、タスクがさらに困難に感じられ、先延ばしの悪循環に陥りやすくなるのです。
ストレス・不安
ストレスや不安も先延ばし癖の大きな原因となります。現代社会では多くの人が日常的にストレスを抱えていますが、このストレス状態が続くと脳の前頭前皮質(計画や意思決定を担当する部分)の機能が低下することが研究で示されています。その結果、合理的な判断よりも感情的な反応が優先され、短期的な気分改善(例:SNSをチェックする、動画を見る)を選びやすくなります。
私自身の経験でも、仕事や人間関係のストレスが高まると、重要なタスクに集中できず、気が散りやすくなりました。また、タスクに対する不安(「うまくできるだろうか」「失敗したらどうしよう」)も先延ばしの原因になります。不安を感じると、その不快な感情を避けるために、タスク自体を避けてしまうのです。
ストレスや不安を感じやすい人は、まずそれを解消することで先延ばし癖を改善することができる可能性があります。
完璧主義
完璧主義は一見いい行動タイプのように思えますが、一方で先延ばし癖の原因となってしまう場合があります。完璧主義の人ほど、1つ1つのタスクに向き合いすぎてしまい、タスクに着手することの心理的ハードルを高くしてしまう場合があります。
また、完璧主義は失敗への恐怖とも密接に関連しています。「うまくできなかったらどうしよう」「批判されたらどうしよう」という不安から、タスクを先延ばしにして失敗のリスクを避けようとするのです。心理学研究でも、完璧主義傾向が強い人ほど先延ばし行動が多いことが示されています。
完璧主義を克服するためには、「完璧」ではなく「十分に良い」状態を受け入れる練習が効果的です。例えば、「80%の完成度でも提出する」というルールを自分に課すことで、着手のハードルを下げることができ、先延ばし癖を改善できる可能性があります。
また、小さな失敗を経験し、それが思ったほど致命的でないことを学ぶことも重要です。完璧主義と上手く付き合うことで、先延ばし癖は大きく改善できるのです。
やりたいことが多すぎる
やりたいことが多すぎる人も、場合によって先延ばし癖の原因となってしまうことがあります。やりたいことが多すぎるという状態は、1つのタスクを完了しても次のタスクにすぐ着手する必要があるため、その連続的な努力にしんどさを感じてしまうと、それぞれのタスクを始めることに抵抗感を持ってしまいます。
やりたいことが多すぎる場合には、下記のようなことを検討するといいでしょう。
- それぞれのやりたいことに対して優先度付けを行う
- それぞれのやりたいことをTODOリストやタスク管理アプリに登録して、順番に消化していく
- 1つ1つのタスクをより時間をかけずに完了させるための方法を考える
- 場合によって「やらない」という選択を取る
先延ばし癖を解消するための2つのアプローチ
先延ばし癖を解消するためのアプローチとしておすすめなのが、下記の2つの方法を組み合わせる方法です。
- 着手力を身に付ける
- 集中力を身に付ける
1. 着手力を身に付ける
先延ばし癖に悩んでいる人が最も多く直面する課題が、着手することへの心理的ハードルです。「やらないといけない」というプレッシャーからどんどんそのタスクに着手することが嫌になってしまい、関係ないことに逃げてしまったり、期限ギリギリまで放置してしまったりということになってしまいます。
まずは、あなた自身の性格やタイプを踏まえて、どのようにすれば素早く着手することができるかを考えましょう。下記に改善方法を紹介しているので、自分に合ったものを探してみてください。
2. 集中力を身に付ける
着手ができるようになったら、次はいかに集中力をキープして、そのタスクを完了させるまでやりきれるかというのがポイントになってきます。
一見先延ばし癖と集中力は関係ないのでは?と思うかもしれませんが、集中力がない状態でタスクをスタートしても、途中で飽きてやめてしまったり、投げ出したりしてしまうため、また改めて「着手」というステップが必要になります。
先にも説明した通り、先延ばし癖の最大の敵が「着手することへの心理的ハードル」なので、集中力が続かずにタスクの中断が増えてしまうほど、「着手」の回数が増え、先延ばし癖が改善されません。
理想はさっと始めて最後までやり切る
着手力を身に付けることでスムーズにタスクを始めることができるようになり、集中力を身に付けることでそのタスクを最後までやり抜くことができるようになるため、理論的には先延ばし癖を解消できるということになります。
ただし、あくまでこれは理想論なのでここまでの情報で先延ばし癖を完全に解消することは難しいと思います。そこで、ここからは先延ばし癖を解消するための具体的な改善方法を紹介していきます。
タスクのタイプを知っておこう
先延ばし癖と一口に言っても、実際にはタスクのタイプに応じて微妙に性質やアプローチが異なります。
習慣化タイプ
読書習慣の習得や勉強など、毎日それを続けることが大切であるようなタスクのタイプが「習慣化タイプ」です。
習慣化タイプのタスクを進める上で大切なことが、「継続性」です。たとえ少しの時間でも毎日続けることが、長期的な成果につながります。習慣化タイプのタスクでは、完璧を目指すよりも「毎日必ず取り組む」という姿勢が重要です。
習慣化タイプのタスクは、最初の数週間が最も難しいですが、約21日間続けることで脳内に新しい神経回路が形成され、徐々に自然と行動できるようになっていきます。
TODOタイプ
例えば、資料作成や役所での手続き、買い物など、それを完了させることがゴールとなるようなタスクのタイプが、TODOタイプです。
TODOタイプは終わらせることが大切なので、着手のハードルを下げることが重要です。タスクを小さく分割して「まずは目次だけ作る」「最初の1ページだけ書く」など、取り組みやすい単位に分けることで始めやすくなります。また、締め切りを自分で設定し、カレンダーに記入することで、緊急性を感じさせ行動を促すことができます。
TODOタイプのタスクは先延ばしされやすい傾向があるため、タスク管理ツールを活用したり、完了したときの達成感や報酬を意識的に設定したりすることも効果的です。私の場合、大きなタスクを終えたら自分へのご褒美を用意することで、モチベーションを維持できるようになりました。
着手力を身に付けるための改善方法
5分だけやってみる
よくある先延ばし癖の解消方法として、「5分でもいいから小さく始めてみる」といったようなタスクを小さくすることで着手することへの心理的ハードルを下げ、
これは特に「習慣化タイプ」のタスクに対して効果的で、基本的に習慣化したいことがある場合は例えば、「毎日読書をする」という目標を立てている場合、それを毎日欠かさず続けることが一番重要です。
疲れてやる気がでない場合でも、1ページであれば本を読むことはできるはずです。
if-thenルールを取り入れる
if-thenルールとは、ニューヨーク大学の心理学者ピーター・ゴールヴィッツァーによって提唱された目標達成や行動変容を助けるための心理学的なテクニックです。
「もしAなら、Bをする」というルールを設定することで、日課と習慣化したいものを紐づけることでそれを行いやすくすることができます。
例えば、「歯を磨く前に本を読む」というルールを設定しておけば、毎日の日課と習慣化したい行動を紐づけることができるので、それを続けることで習慣化に成功しやすくなります。
終わらせることではなく着手することを重視する
「5分だけやってみる」、「if-thenルール」はいずれも習慣化タイプのタスクに対して効果的なアプローチですが、「着手することを重視する」というアプローチは、TODOタイプのタスクに対しても効果的です。
やらないといけないことがあった時に、それを最後まで完遂しないといけない、というイメージを持ってしまうとタスクに対しての抵抗感が高まってしまいます。
そうではなく、タスクの「着手」に重きをおき、始めることができたらそれでOKという感覚を持つことで、抵抗感を低減することができます。
集中力を身に付けるための改善方法
邪魔するものを物理的に遠ざける
難しい作業や気の進まないタスクを進めている時は、なかなか集中が続かず、途中で投げ出してしまうことが多くなります。
例えば、ついスマホでSNSを起動してしまうという人は下記のようなアプローチが効果的です。
- スマホを自分の視界に入らない場所に移動させる
- スマホの電源を切る
- スマホを別の部屋に置いておく
- そのSNSのアプリをアンインストールする
このように、なるべく物理的に遠ざけることによって、ちょっと気が抜けた瞬間に手が伸びてしまうことを防ぐことができるようになるため、集中力が切れたタイミングで作業から離脱してしまう可能性を下げることができます。
集中が切れたことに気づける力を身に付ける
人間なら誰しも、長時間集中して作業を行っていると、集中力が切れてしまいます。集中力の高さは人それぞれ異なりますが、集中力が切れたタイミングで自分が取ってしまう行動を認識することで、集中力を高めるために役立ちます。
例えば、集中力が切れた時にスマホを開いてしまう人であれば、スマホを物理的に遠ざけることで
これを身につけるためには、下記のようなトレーニングがおすすめです。
- 集中力が切れたタイミングに取る行動を意識的に認識する
- その行動を記憶/記録する
- 次に集中力が切れた時に同じ行動を取ってしまったら、それに気づき、意識的に作業に戻る
上記の1〜3のステップを繰り返し行うことで、集中が切れた時に取ってしまう自分の行動を客観視することができるようになり、集中が切れたタイミングで元に戻る力を身に付けることができるようになります。
また、集中が切れた時に取ってしまう行動を防ぐために、上記の物理的に遠ざけるアプローチを組み合わせることでさらに効果を高めることができるでしょう。
まとめ
先延ばし癖に悩んでいるということは、それを改善してより良い自分になりたいという気持ちを持っている、どちらかというと前向きなイメージや向上心を持っている人の悩みの1つです。
先延ばし癖は多くの人が悩むテーマの1つですが、それを解消することができれば現状の自分よりも大幅にレベルアップすることができるので、真摯に向き合うことはとても意味がある行動です。
短期間で効果を出すことは難しいかもしれませんが、先延ばし癖の解消は若ければ若いほど、後の人生をより良くしてくれるため、ぜひ上記を参考に取り組んでみてください。